悪性の脂肪腫
脂肪腫とは
脂肪腫とは脂肪組織が皮膚下や筋肉の間にたまることによって生じる脂肪の塊のことで、良性の軟部腫瘍です。脂肪腫ができると皮膚が盛り上がり、柔らかいしこりがあらわれます。脂肪腫は長い時間をかけて次第に大きくなりますが、痛みを伴わないので経過観察だけで終えることも可能です。
一般的な腫瘍は直径5cmを超えると悪性の可能性が高いと言われますが、脂肪腫は例外的に巨大なものもよくみられます。直径数mmの小さな脂肪腫も見られますが、直径が10cm以上にもなる脂肪腫も存在します。
悪性の脂肪腫
筋肉組織や脂肪組織が、塊状の腫れ物=腫瘍となったものが「軟部腫瘍」です。そのうち脂肪組織の良性腫瘍が「脂肪腫」で、悪性腫瘍が「脂肪肉腫」と言います。但し、良性の「脂肪腫」の中で、比較的大きな腫瘍は、病理検査してみると、悪性度が低い「低分化型の脂肪肉腫」だった症例もあり得ます。
つまり脂肪腫には悪性のものがなく、悪性になると脂肪肉腫という風に名前を変えることになります。
では悪性の腫瘍の場合は一体何が違うのでしょうか。悪性の腫瘍の大きな特徴のひとつが、他の場所に転移する点です。良性の腫瘍であれば、それ自体は痛みも生じず、周りにも影響を与えません。
しかし、悪性の腫瘍になった場合は周りに転移することで悪影響を与えます。
では一体、どうやって良性の脂肪腫と悪性の脂肪肉腫を見分けるのか。じつはこの判断が非常に難しいです。
というのも、もともとは同じ腫瘍であることが多く、形も同じです。良性の脂肪腫が大きくなることで悪性の脂肪肉腫になることを考えると、どこまでが良性で、どこからが悪性なのかを判断するのは困難です。
一般的には5cmを超えると悪性という風に言われていますが、そもそも悪性の定義が周りに悪影響を与えるかどうかということなので、大きさは目安にはしても、判断するための根拠とはなりません。
脂肪腫の手術
脂肪腫は痛みを生じませんし、たいていは良性です。しかし、悪性の脂肪肉腫だと判断された場合には手術が必要となります。
脂肪腫は小さいものであれば局所麻酔手術で摘出することが出来ます。しかし、脂肪腫の大きさがあまりにも大きすぎる場合、脂肪腫が筋肉の奥深くに発生している場合は入院のうえ全身麻酔または腰椎麻酔が必要となります。
脂肪腫が悪性である場合はもちろん、脂肪腫は放置しても自然に小さくはならないので、脂肪腫が大きくなり、目立つようになったら手術によって摘出することをおすすめします。
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